ご挨拶―植物病とは―

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植物にも心があり光に向かって生きています。当サイトでは大学研究室に勤務する私が盆栽の育て方と植物に掛かる病気、病原体の解明と治療方法について調べたことを書いています。

【植物病】しょくぶつびょう-plant diseases-

一般的に植物病と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
小学校の植物観察やご家庭の観葉植物をふと見たとき、葉の色が緑から黄色や茶色に変色したりしおれたり…といった何気ない風景の一部を思い返すでしょうか。

植物病の定義では、人間が病気にかかるのと同じように、「植物が健康でない状態を示すもの」という幅広い表現となっています。また、樹木が植物病になった場合は「樹病」ともいわれます。これらの病気の原因は実にさまざまですが、大別すると「微生物による伝染病」と「環境要因による生理病」の二種類に分けられます。

微生物の主な種類としては、糸状菌,細菌,ウイルス,ウイロイド,ファイトプラズマ,線虫などがあります。

2つ目の環境要因というのは、栄養の過不足や水質汚染、大気汚染などの要因が引き金となる場合のことをいいます。

正しく植物病に対処する為にも原因の特定は非常に重要です。人間が風邪を引いた時は温かくし、火傷をしたら冷やすように、原因が微生物などであれば殺菌作用のある薬剤の投与などが効果的ですが、環境要因だった場合水遣りや日光に当てる、肥料を与えるなど対応が変わってきます。

しかし残念ながら植物は音声を発したり表情を変えたりはしませんので、微生物なのか?日光不足か?虫食いなのか?ということは一見では判別しづらいことも多く、植物病の対処には経験や知識が重要となってきます。

歴史上の大事件ージャガイモ飢饉

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過去、人類の歴史上で最も甚大な被害をもたらしたとされる植物病は、ジャガイモの疫病です。

ジャガイモは元々アンデス地方が原産地ですが、ヨーロッパに持ち込まれた後、栽培のしやすさ・収穫量・腹持ちのよさなどから、貧農の食料の中心となっていき、1800年代前半にはアイルランドの人口の約三割がジャガイモを主食としていました。

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▲アイルランド

そんな折、1845年頃からヨーロッパ全土でジャガイモの疫病が蔓延し、大飢饉が発生したのです。この飢饉は人体に直接感染したコレラやチフスといった疫病よりも大規模な被害を与え、とりわけアイルランド島では被害が大きく、この大飢饉に関連して犠牲となった人たちは80~150万人、更に国外(アメリカなど)へ移住・移民を余儀なくされた人々は200万人を超えるといわれています。

飢饉の直前までアイルランドの人口は約800万人でしたが、疫病が発生した後は半分の400万人に満たない人口まで減少し、現在も人口はそのままの400万人程度となっているほどです。

なぜ?このジャガイモの疫病が人類史にこれほどまで壊滅的な被害をもたらしたかというと、2つの大きな「偏り」が原因として挙げられます。

ひとつは先に述べたように、ヨーロッパで多くの人たちが主食のうちジャガイモが占める割合が高かったこと。もうひとつは、ジャガイモの中でも特定の品種にしぼって大量に栽培していたことです。

ご存知の通り一般的なジャガイモは、前年のイモを種芋として埋めて、地中でそのイモからまた別のイモが殖えていく無性生殖を行います。そのため、ひとつの品種を植えると、種芋とほとんど同じ遺伝子要素が受け継がれていきます。つまり、ひとつの有害な植物病に感染すると、それに抵抗できる固体は同じ品種の中ではほとんどなく、次々と病気にかかってしまうという事になります。

原産地のアンデス地方ではイモ類を長年栽培し、そういった植物病への対策のノウハウも知識や経験として浸透してい為、1つの畑にさまざまな品種のイモを混ぜて植えていました。その為、大規模な植物病の被害には至らずに栽培されてきました。

しかしヨーロッパでは当時伝染病や微生物の概念も無く、栽培の知識や経験も浅かった貧農達が輸入したイモを効率よく増やそうと、単一の種類を大量に栽培する方法を大陸全土で一般的に行っていた為に、疫病が一気に蔓延したといわれています。

これまでの歴史を振り返るとこういった事例はいくつもあり、現在でも、毎年心配される稲作の冷害(環境要因による生理病)など、常に人類は植物病の脅威にさらされているのです。

もちろん植物の伝染病の元となる微生物自体で人間が死に至ることはありませんが、正しい対処法を知らなければ、人の伝染病よりも悲惨な状況に陥ることもあるのです。

私と盆栽と植物病

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食用の農作物以外にも、多くの人が悩まされているのが、盆栽の植物病です。

昔は盆栽といえば還暦を迎え、退職した老後の趣味として、渋い松の植木を一戸建ての庭に何個も並べて…という姿を想像される方も多いと思います。

毎日細かな観察や世話を必要とする盆栽は、退職後に仕事の代わりに打ち込めるものとしてはうってつけです。子供を育てて独り立ちさせた方も、子供がいなかった方も、自分の手で手間をかけて育てた分、すくすく成長して育っていく姿を見ていると、愛着が深まり癒されることでしょう。

しかし今や盆栽も多様化し、都内の狭いアパートでも育てられる小さく品種改良されたものや、女性に人気のあるきれいな花をつけるもの、かわいらしい丸い形のコケ玉など、男女問わず幅広い年代に愛されるエコな趣味として、じわじわと人気が上昇しています。

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加えてインターネットが普及して以来、盆栽そのものや鉢、土、肥料、薬剤などの手入れ道具一式まで、通販サイトで手軽に安く揃える事ができるようになりました。手元に届いたあとも、仮に周りに盆栽の先輩がいなくても、育て方などの情報を写真つきで解説してくれるサイトやブログはたくさんあります。

水遣りや葉裏の虫、植物病に気をつけなければならない盆栽は、毎日マメな世話を必要としますが、育てる上で必ず体験する「困ったとき」に「育て方のノウハウ」はネット上で入手できます。

このように「盆栽」の敷居が下がった事もあり、先日還暦を迎えた私も、実際に盆栽を始めることにしました。というのも、今まで農作物など食用の植物を専門に研究していたのですが、60歳にもなると、広い畑の面倒を見るには体力も衰えも感じてきておりましたし、自分に万が一があった際に周りの手を煩わせることのないよう、さっさと後進に道を譲りたいと考えていました。

そんな折に、ちょうど大学内で私の還暦を祝うパーティーを催して頂き、ゼミの学生や古い友人などから、立派な五葉松の盆栽をプレゼントとして頂戴しました。兼ねてより私が興味をもっていた盆栽で、同年代の友人から「育てやすく、形も自分の好みに造れる。」と、薦めてもらいました。若いゼミの学生からも、「先生がいつまでも若々しくいられますように」と、たくさん花の咲きそうな白梅の盆栽をもらったので、これを期に畑を譲り、自宅で細々と育ててみるのも楽しいだろうと思いました。

そして実際に育ててみた上で、よくある盆栽の病気や害虫などの例を紹介したいと思います。

盆栽の病気や害虫―松編

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1.水遣り

松を育てる際最初に悩むことが多いのが、夏場の水遣りです。

松は葉が針のように細い為、変化を読み取るのに注意が必要です。水が足りずに内々から枯れ初めていても、葉の色はしばらく緑色のままなので、経験が少ないうちはあまりわからない事が多いのです。そして夏場の暑さがおさまり、ようやく涼しくなってきたという頃に突然葉が茶色く変色します。茶色くなったという事は既に枯れていますので、そこで水遣りをしても元には戻りません。

私も農作物を育てていた際は、「葉っぱや土が乾いてきた」、という見た目で分かりやすいサインがあったのですが、松は夏場に水を少なめにやっていても、針状の葉は青々としていたので、「暑さに強いのかな?葉も針状だからあまり乾燥しないのかもしれない」と思いました。

しかし秋口に葉が茶色くなり、虫や病気の可能性も疑いましたが、やはり水枯れだったようです。「やっぱり水が少なかったのか…」と、盆栽をはじめて最初の年は勉強しました。事前に水遣りの注意は聞いていましたが、やはり量やタイミングなどはこれまでの作物より、気をつけてよく見なければならないとわかりました。
ちなみに水枯れしている松の葉も、よく注意して見ると、わずかに葉の色が落ちていますので、日頃からよく観察してみましょう。

水遣りというと根に水を与えるのが一般的ですが、松の場合は葉に水を直接かける「葉水」という方法も効果的です。

2.松葉枯病、すす葉枯病、葉ふるい病、葉さび病

さて水枯れは生理病(環境要因によるもの)といえますが、松葉枯病、すす葉枯病、葉ふるい病、葉さび病といった細菌が要因となる伝染病も気をつけなければなりません。変色が夏場でない場合などは伝染病を疑った方が良いでしょう。

■松葉枯病(赤斑葉枯病)
9月頃から葉が点々と褐色になり、しばらくすると赤黒い斑点になります。
次の年の春にはこの斑点の中央に黒い点ができ、この点から「かびの胞子の塊(暗い緑色)」が次々露出してきて、葉が覆われます。最後にはこの葉も黒くなり、やがて枯れます。

■すす葉枯病
6~7月頃新しい葉の先の方から黄色~褐色に変色し、葉先から中ほどまで灰褐色に変わった後枯れます。枯れた部分の葉には黒いすす状の小粒点が多数できる事からこの名前がついています。

葉ふるい病
この病気は7~9月頃、初めに褐色の斑点が現れますが、その後冬の間は病状が進行しません。様子を見て越冬すると、春に葉が灰色~白っぽく変わって落葉します。松葉枯病と初期症状が似ていますが、葉ふるい病で落葉した葉には黒い縞模様が入ることから外見で区別ができます。

<対処法>
①まずは患部である変色した部分を取り除き、焼却処分。
②その後専用の殺菌剤で病原菌をしっかり殺菌します。

変色した部分は既に感染し、細胞が死滅している為枯れているので、治療・再生はほぼ不可能です。それどころか放置していると他の健康な部分に病原菌が感染し、どんどん進行するので、移らないよう、隔離して処分しましょう。

殺菌する際の薬剤は市販の松用のもので大丈夫です。一般的に良く見るのはマンネブ水和剤、ジマンダイセン水和剤などです。散布の仕方は商品にも明記されていますが、大体週1回、松全体に満遍なく夏場6~9月の間続けて散布すれば病気の予防にも良いでしょう。菌にもよりますが、糸状菌などほとんどは高温多湿な環境で繁殖しますので、やはり夏場に重点的な注意が必要です。

<予防法>
石灰硫黄合剤を30~40倍に薄めた液を冬期に散布します。
枝や葉で越冬している病原体を駆除しておくことも非常に有効です。

3.アブラムシ、ダニ

松の葉が込み入っている部分にアブラムシやダニがつくことがあります。アブラムシは暑さに弱く、冬は卵の状態で越冬する為、過ごしやすい春・秋に発生することが多いです。市販の殺虫剤をふきつけ、こまめに予防しておきましょう。

アブラムシ向け薬剤
オルトラン(粒剤)(水和剤)、DDVP乳剤、スミチオンなど

ダニ向け薬剤
ダニカット水和剤、ダブル乳剤、ケルセン乳剤、オサダン水和剤など

番外編:松くい虫(マツノマダラカミキリ、マツノザイセンチュウ)

松の害虫というと、俗に言う「松くい虫」が有名です。

盆栽につくことはほぼありませんが、植木や松林をお持ちの方には馴染みのある名前でしょう。この「松くい虫」は、2~3cm伊勢海老のような外見の虫が、葉にとりついて食い荒らすと思われつけられた俗称ですが、正しくはその寄生虫が引き起こす「マツの材線虫病」という病気による症状です。

伊勢海老のような虫=マツノマダラカミキリに寄生した、長さ1mmくらいの小さな線虫=マツノザイセンチュウが松の幹の中で増殖すると、松の水分の通り道をふさいでしまうのです。水が体内に行き渡らなくなった松は赤く変色して枯れてしまいます。(センチュウはカミキリによって松に運ばれ、カミキリは餌として松を食べ、その噛み傷からセンチュウが松へ侵入して増殖し、松を弱らせ、カミキリは松ヤニの影響を受けずに産卵する事ができる、という相互関係があります。)

<見極め方>
マツクイはまずカミキリが元気な松の葉から食べることから始まりますので、松の古い葉から順に枯れたり、一部分のみ枯れている場合はマツクイが原因ではありません。

<対処法>
①薬剤樹液注入(マツノザイセンチュウの駆除)
線虫が既に松に到達している場合薬剤を直接樹の中へ注入し、線虫を死滅させる樹液注入という方法がありますが、10歳以下の細い幹の松には施術できません。また薬剤は非常に高価で一般的に流通しておらず、注入のタイミングなども薬剤によるので専門の造園技師に頼んだ方がいいです。

②薬剤噴霧(マツノマダラカミキリの駆除)
カミキリが松の表皮をかじる5~7月の時期に殺虫剤を散布して駆除・予防を行います。
スミパイン乳剤、マツグリーン液剤などの薬剤を吹きかけるのが良いでしょう。

盆栽の病気や害虫―梅編

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1.黒星病

6~9月頃、葉に黒~褐色の小さな斑点ができ、その中心から穴が開いていきます。クラドスポリウム カルポフィラムという糸状菌が原因の伝染病で、18℃~24℃で活性化し、雨が多い季節になると雫などで更に感染の範囲が広がります。

原因菌を薬剤で殺菌するのが効果的ですが、感染後越冬して春から活性化する事もあるので、冬の間の剪定作業も有効な手段です。

<黒星病向け薬剤>
ダコニール、ストロビーDF、スコア水和 、ベルクート水和 、フロンサイド水和 、デランフロアブルなど

2.うどんこ病

5~10月頃葉の表面が小麦粉をまぶしたように白く粉状になる。進行すると茎、枝まで白くなってくる。

<うどんこ病向け薬剤>
サンヨール、サプロールなど

3.たんそ病 褐班病

葉が黄色から褐色の斑点ができ、病状が悪化すると灰褐色に変色、斑点が拡大し、枯れていきます。原因となる菌は不完全菌類・子囊菌類(しのうきんるい)がほとんどです。樹木が弱っていると感染しやすいので、窒素を多く含む肥料を追肥して樹勢を保ちましょう。

<たんそ病 褐班病向け薬剤>
ダイセン・トップジンM・マンネブダイセンなど

4.アブラムシ
4月春頃から発生します。アブラムシは2週間程度で代替わりするため、薬剤をいくつか交互に利用すると良いです。同じ薬剤を連続して利用していると、その薬剤に強力な耐性をもつアブラムシへと進化してしまいます。また薬剤で葉や枝の表面を覆う事が大事ですので、雨で流されると効果も薄まってしまいます。なるべく雨が降らない乾いた日に吹きかけるようにしましょう。

<アブラムシ向け薬剤>
スミチオン、マラソン、オルトラン、粘着君など※アブラムシの分泌液で流れないよう展着材(ダイン)を併用すると良い場合もあります。

還暦祝いに迷ったもう一品

還暦祝いのプレゼント、メインのプレゼント以外に何かもう一品入れる場合どのようなものを選ぶといいのでしょうか。
以外にもう一品というのは迷うものですがスイーツなどがいいでしょう。
メインに選んだプレゼントが形の残るものならもう一つは残らないものにすることをおすすめします。スイーツと言っても普通のお菓子ではなく自分では買わないような高級なお菓子にしてください。高級なものなら喜ばれますしおいしいものをたべたという思い出ができます。
この時に特別感を出すためにスイーツにはのしをしてもらってください。さらに名前を入れられるものなら入れるといいでしょう、最近ではカステラやロールケーキ、せんべいにクッキーなどあらゆるものに名前を入れられるようになっています。
ロールケーキの場合写真を入れることも可能です。そのまま食べられるようになっていますので箱を開けた瞬間感動してもらえます。
他にもケーキなどで写真をパティシエに渡すと似顔絵ケーキを作ってくれるというサービスもありますのでこれもおすすめです。
基本的にスイーツなら高級なものでもそう高くありませんしみんなで食べて楽しめるのもいいところです。
糖尿などでスイーツが食べられない場合にはお花をプレゼントするのもいいでしょう。お花らなら枯れるまでの間華やかさを楽しめます。スイーツとお花のセットのお祝い商品もありますのでどちらも好きな人にはこのようなものをあげるのもいいでしょう。

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    盆栽の美しさは世界共通。生きた植物に「完成」はなく、常に変化することが魅力です。現在は植物病に対して、盆栽を病気から守り、世界盆栽大会に出場することが夢です。
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